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大野直子 VS 桝野正博                                                                                                      離反と融合をくりかえす、一枚の詩と、一篇の詩。
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         肉 声


     苦悩ぶったことばなんかいらない
     たましいの声もいらない
     聴きたいのは
     ひと切れの肉声なんだ

       ケーン
       ケーン
       伐採がすすむ防風林で
       キジが断末魔のような声をあげる
       一番星とキジの鳴き声が
       夜の入り口の空に氷る

     安穏な人生でも叫びたいんだよ
     つぶやきでもいいんだ
     みぞおちのあたりが
     たしかにすこし痛むんだよ

        ケーン
        ケーン
        ブルドーザーで
        離れ離れにされてしまったキジの親子が
        工場用地をはさんで存在を確かめ合う

          かあさんが死んだとき
          わたしはほんとうの一人になりました
          はじめて世界に産み落とされました

     蒼い防風林を歩く
     ケーン と
     喉をしぼってみる







         沈 黙


      風が鳴る四月
     雑木林ははじめて自分の最期に気づいた
     吸わない音 除けない砂
     トビたちが止まるむきだしの枝先
     てんでんばらばらの方向に傾く木立

     サーファーたちがいくらうねっても
     砂浜に現れたショッピングモールが真夜中を照らしても
     陽光が降り注いでも
     ニセアカシアは芽吹かない

     ニセアカシアの寿命はおよそ五十年
     内灘闘争が終わって五十一年

       あたしったら
       死にかけているのね

     だが おまえの死に暗さはない
     試射場ドームに描かれていた淫靡な落書きもない
     すえた臭いもない
     去勢されたようなショッピングモールは浜を背にして建ち
     荒波をけっして見ようとしない
     砲弾が行き交ったこともある細長い海岸線には
     ただ春が透けているだけだ

     奥行のないまちが
     骸骨のような林に抱かれている
















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無題
暮らしのなかでのこと、そのときどきの思い、ちょっと辛いこと、たのしいこと…。「詩」という媒体にのせて、言葉にしたり、つぶやいたりしたいだけだよ。
<> 2008/04/24(Thu)06:29:18 edit
持ち物
 人生が安穏ではいけないのだろうか。苦悩に満ちている人は、そこから逃げ出したいと言い、苦悩を知らない人は、それに憧れるという。人はなぜ、自分の持ち物を大切にできないのだろう。ぼくはときどき持ち物検査をすることにしよう。そしてそれを十分に使い切っているかと、評価することにしよう。撮る瞬間にそれがわかるような気がする。
<マ> 2008/04/21(Mon)14:06:34 edit
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